こんにちは!管理栄養士のゆいです!
朝晩の気温が下がり、少しずつ寒さを感じる季節になってきましたね。
この時期になると、「身体を温める食べ物を食べた方がいい」「生姜を食べるとポカポカする」といった話を耳にすることが増えます。
でも、そもそも食べ物によって身体を温めることはできるのでしょうか?
実は、食事と身体の熱産生には関係があります。ただし、特定の食品を食べるだけで、冷えが根本的に改善するわけではありません。
今回は、身体を温める食べ物の効果や、冷えと筋肉量・栄養の関係について解説します!
① 「身体を温める食べ物」は本当にある?
結論からいうと、食事によって身体の熱産生が増えたり、一時的に温かさを感じたりすることはあります。
ただし、「この食品を食べれば身体が温まる」と単純に考えることはできません。
私たちの身体は、体温を一定の範囲に保つために、熱をつくる働きと熱を逃がす働きを調整しています。
例えば、寒いときには皮膚の血管が収縮して熱が逃げにくくなったり、筋肉が震えることで熱をつくったりします。
そして、食事も熱産生に関わる要素の一つです。
食べるだけで熱が生まれる?「食事誘発性熱産生」
食事をすると、食べ物の消化・吸収・代謝などにエネルギーが使われます。
このときに生じる熱産生を、**食事誘発性熱産生(DIT)**といいます。
栄養素によって、その大きさには違いがあります。
- たんぱく質:約20〜30%
- 炭水化物:約5〜10%
- 脂質:約0〜3%
※各栄養素から摂取したエネルギーに対する、食事誘発性熱産生の一般的な目安です。個人差や食事条件によって変動します。
たんぱく質は、炭水化物や脂質と比べて食事誘発性熱産生が大きいことが知られています。
ただし、たんぱく質を多く食べれば冷えが改善するという意味ではありません。
大切なのは、特定の栄養素だけを増やすことではなく、必要なエネルギーと栄養素をバランスよく摂ることです。
② 生姜を食べると身体が温まるって本当?
身体を温める食材として代表的なのが「生姜」です。
生姜には、ジンゲロールやショウガオールなどの辛味成分が含まれています。
これらの成分は、温かさの感覚や熱産生などに関わる可能性が研究されています。
実際に、生姜の摂取によって熱産生や温感に変化がみられた研究もあります。
しかし、その効果は摂取量や調理方法、研究対象者などによって異なります。
また、生姜を食べることで慢性的な冷えが改善するという十分な科学的根拠は、現時点では確立されていません。
生姜は風味を加えられる便利な食材ですが、冷え対策として大量に摂取する必要はありません。
普段の料理やスープなどに、好みに合わせて取り入れるとよいでしょう。
③ 温かい飲み物は身体を温める?
寒い日に温かいお茶やスープを飲むと、身体がポカポカするように感じますよね。
これは単なる気のせいではありません。
温かい飲み物を摂取すると、口や喉、胃などに温かさが伝わり、一時的に温かく感じることがあります。
ただし、健康な人の深部体温は身体の体温調節機能によって一定の範囲に保たれています。
そのため、温かい飲み物を飲んだからといって、深部体温が長時間高く保たれるとは限りません。
反対に、冷たい飲み物を飲んだからといって、必ず身体全体が冷えるわけでもありません。
つまり、温かい飲み物は寒いときの快適さを高める方法の一つですが、冷えの根本的な解決策とは限らないということです。
無理に温かい飲み物だけを選ぶ必要はありませんが、寒い季節にはスープや温かいお茶などを上手に取り入れてみましょう。
④ 冷えと筋肉量には関係がある?
ここで注目したいのが「筋肉」です。
筋肉は身体を動かすだけでなく、熱産生にも関わる重要な組織です。
特に寒い環境では、筋肉を細かく収縮させる「ふるえ」によって熱をつくることがあります。
また、身体活動によって筋肉が働く際にも熱が生まれます。
そのため、筋肉は体温調節に重要な役割を果たしています。
ただし、筋肉量が少ない人が必ず冷えやすいわけではありません。
冷えには血流や自律神経による体温調節、体脂肪、活動量、周囲の気温など、さまざまな要因が関係しています。
筋肉を維持するために必要なこと
筋肉量を維持するためには、食事と運動の両方が大切です。
特に意識したいのは、次の3つです。
1.必要なエネルギーをしっかり摂る
食事量が少なく、エネルギー不足が長期間続くと、筋肉量の維持が難しくなる場合があります。
主食を極端に減らすなど、無理な食事制限には注意しましょう。
2.たんぱく質を毎食取り入れる
肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などを組み合わせて、必要なたんぱく質を確保しましょう。
3.適度な運動を習慣にする
ウォーキングなどの日常的な身体活動に加え、筋力トレーニングを取り入れることも筋肉量の維持に役立ちます。
食事だけでなく、身体を動かす習慣も意識することが大切です。
⑤ 食事量が少ないと冷えやすくなる?
冷えを考えるうえで、もう一つ重要なのが「エネルギー不足」です。
私たちの身体は、食事から摂取したエネルギーを使って生命活動を維持しています。
極端な食事制限などによってエネルギー不足が続くと、身体はエネルギー消費を抑える方向に適応することがあります。
その結果、寒さを感じやすくなる場合もあります。
特に、ダイエット中の方や、食事量が少ない高齢者、活動量に対して食事量が不足している方などは注意が必要です。
「冷えるから生姜を食べよう」と考える前に、まずは毎日の食事量が足りているか確認してみましょう。
こんな食生活になっていませんか?
- 朝食を抜くことが多い
- ダイエットのために主食を極端に減らしている
- 野菜やサラダだけで食事を済ませることがある
- 肉や魚などのたんぱく質源をあまり食べない
- 忙しくて1日全体の食事量が少ない
これらに当てはまる場合は、特定の食材を追加するよりも、まず食事全体を見直すことが重要かもしれません。
⑥ 管理栄養士がおすすめする冷え対策の食事
冷え対策では、特定の食品だけに頼るのではなく、身体に必要なエネルギーと栄養素を十分に摂ることを意識しましょう。
例えば、寒い日の食事には次のような組み合わせがおすすめです。
朝食:ごはん+卵+具だくさん味噌汁
ごはんでエネルギーを補給し、卵でたんぱく質を摂ることができます。
味噌汁に野菜や豆腐などを加えれば、さまざまな栄養素も補いやすくなります。
昼食:肉や魚を使った定食
主食・主菜・副菜を組み合わせることで、炭水化物やたんぱく質、ビタミン、ミネラルなどを摂りやすくなります。
夕食:具だくさん鍋+ごはん
鍋料理は、肉・魚・豆腐・野菜などを一度に取り入れやすいメニューです。
ただし、野菜や豆腐だけではエネルギーが不足する場合もあります。
ごはんやうどんなどの主食も組み合わせて、食事全体のバランスを整えましょう。
まとめ|冷え対策は「温める食材」だけに頼らない!
生姜や温かい飲み物には、一時的に温かさを感じたり、熱産生に影響したりする可能性があります。
しかし、特定の食品を食べるだけで、冷えが根本的に改善するとは限りません。
冷えが気になるときには、
- 必要なエネルギーをしっかり摂る
- たんぱく質を含む食品を毎食取り入れる
- 適度な運動で筋肉量を維持する
- 温かい食事や飲み物を無理なく活用する
といった生活習慣を意識してみましょう。
また、冷えの原因は食事だけではありません。強い冷えや長引く冷え、疲労感、しびれ、皮膚の色の変化などがある場合には、貧血や甲状腺機能の異常、血流の問題などが隠れていることもあるため、医療機関への相談も大切です。
「何を食べれば身体が温まるか」だけでなく、「身体が必要とする栄養を十分に摂れているか」を考えること。
これが、管理栄養士としておすすめしたい冷え対策の第一歩です。
執筆者情報
吉良優衣|管理栄養士
整骨院で勤務しながら、日々の食事や栄養に関する情報を発信しています。
無理な食事制限ではなく、一人ひとりの生活に合わせた、継続できる食事の工夫を大切にしています。