こんにちは!管理栄養士のゆいです。
10月に入り、朝晩は肌寒さを感じる日も増えてきましたね。季節の変わり目は、気温の変化や生活リズムの乱れなどによって、体調の変化を感じる方もいるのではないでしょうか。
皆さんは、毎日ぐっすり眠れていますか?
「しっかり寝たはずなのに疲れが取れない」
「夜中に何度も目が覚める」
「布団に入ってもなかなか寝つけない」
こうした睡眠のお悩みはありませんか?
睡眠の質には、ストレスや運動習慣、寝室の環境など、さまざまな要因が関係しています。
そして、意外と見落とされがちなのが毎日の食事や栄養状態です。
今回は、睡眠と関係する6つの栄養素と、今日から実践できる食事のポイントについて解説します!
そもそも睡眠と栄養にはどんな関係がある?
私たちの身体では、さまざまなホルモンや神経伝達物質が働き、睡眠と覚醒のリズムを調節しています。
例えば、睡眠に関係するホルモンとして知られているのが「メラトニン」です。
メラトニンは、夜になると分泌が増え、身体に夜が来たことを知らせる役割を持っています。
そして、このメラトニンの合成には、食事から摂取するアミノ酸やビタミンなどが関わっています。
また、近年ではビタミンDやオメガ3脂肪酸など、さまざまな栄養素と睡眠の関係についても研究が進められています。ただし、特定の栄養素をたくさん摂れば、必ず睡眠の質が良くなるというわけではありません。
大切なのは、必要な栄養素を不足させず、規則正しい食生活を送ることです。
① トリプトファン|睡眠に関わるホルモンの材料
トリプトファンは、体内で十分に合成できない「必須アミノ酸」の一つです。
食事から摂取したトリプトファンは、体内で神経伝達物質の「セロトニン」の材料となります。
さらに、セロトニンは睡眠と覚醒のリズムに関係する「メラトニン」の合成にも利用されます。
つまり、トリプトファンは睡眠を支える身体の仕組みに欠かせない栄養素なのです。
トリプトファンを含む食品
- 納豆・豆腐・豆乳などの大豆製品
- 牛乳・ヨーグルト・チーズ
- 卵
- 肉類・魚類
例えば、朝食に納豆ご飯と卵、ヨーグルトを組み合わせると、トリプトファンを含む食品を手軽に取り入れられます。
ただし、トリプトファンを多く摂ったからといって、その日の夜に必ず眠りやすくなるわけではありません。
まずは、毎日の食事でたんぱく質を不足させないことが大切です。
② ビタミンB6|セロトニンの合成をサポート
ビタミンB6は、たんぱく質やアミノ酸の代謝に関わるビタミンです。
特に、トリプトファンからセロトニンが合成される過程で必要な栄養素の一つです。つまり、トリプトファンだけでなく、ビタミンB6も十分に摂取することが、身体の正常な働きを維持するうえで重要になります。
ビタミンB6を含む食品
- かつお・まぐろ
- 鮭
- 鶏むね肉
- バナナ
- 玄米
例えば、鮭のおにぎりやバナナなどは、忙しい朝にも取り入れやすい食品です。
ただし、ビタミンB6を追加で摂取すれば睡眠の質が改善するという十分な根拠があるわけではありません。
サプリメントに頼る前に、普段の食事内容を見直してみましょう。
③ マグネシウム|神経や筋肉の正常な働きを維持
マグネシウムは、体内の多くの酵素反応に関わるミネラルです。神経や筋肉の正常な働きを維持する役割があり、睡眠との関係についても研究されています。一部の研究では、マグネシウムの摂取によって睡眠状態が改善する可能性が報告されています。
しかし、研究数や対象者数が限られており、睡眠改善効果については十分な結論が出ていません。
マグネシウムを含む食品
- 納豆・豆腐
- アーモンドなどのナッツ類
- わかめなどの海藻類
- 玄米
- ほうれん草
マグネシウムは睡眠だけでなく、骨の健康やエネルギー代謝にも関わる大切な栄養素です。
主食・主菜・副菜を組み合わせ、さまざまな食品から摂取することを意識しましょう。
④ グリシン|睡眠との関係が研究されているアミノ酸
グリシンは、体内でも合成されるアミノ酸の一つです。コラーゲンを構成する成分として知られていますが、近年では睡眠との関係も注目されています。
小規模な研究では、就寝前にグリシンを摂取することで、主観的な睡眠の質や翌朝の疲労感などが改善したという報告があります。
ただし、研究の規模は限られており、誰にでも同じ効果が期待できるとは限りません。
グリシンを含む食品
- 肉類
- 魚介類
- ゼラチンを使用した食品
ここで注意したいのは、グリシンを含む食品を食べることと、研究で使用された量のグリシンを摂取することは同じではないという点です。
「グリシンを含む食品を食べればよく眠れる」と考えるのではなく、バランスの良い食事を基本にしましょう。
⑤ オメガ3脂肪酸|睡眠の質との関係が注目される脂質
オメガ3脂肪酸は、健康維持に欠かせない脂質の一種です。
代表的なものには、魚に多く含まれるDHAやEPA、植物性食品に含まれるα-リノレン酸があります。
特にDHAは、脳や神経細胞の膜を構成する重要な成分です。
近年では、オメガ3脂肪酸と睡眠時間や睡眠の質との関係についても研究が進められています。
例えば、子どもを対象とした研究では、DHAを含むオメガ3脂肪酸の補給によって、一部の対象者で睡眠時間の増加や夜間覚醒の減少が報告されています。
ただし、研究によって結果にはばらつきがあり、成人を含むすべての人に同じ効果が期待できるとは限りません。
オメガ3脂肪酸を含む食品
- さば
- いわし
- さんま
- 鮭
- くるみ
- えごま油・アマニ油
特に青魚は、DHAやEPAを摂取できる食品です。
睡眠への効果だけを期待するのではなく、健康維持のためにも魚料理を普段の食事に取り入れてみましょう。
⑥ ビタミンD|不足と睡眠障害との関連が報告されている
ビタミンDと聞くと、「骨を丈夫にする栄養素」というイメージが強いのではないでしょうか?
実は近年、ビタミンDと睡眠の関係についても研究が進められています。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けるだけでなく、免疫機能や神経系の働きにも関係しています。
また、睡眠と覚醒の調節に関わる脳の領域にもビタミンD受容体が存在することから、睡眠との関連が注目されています。
複数の観察研究をまとめた解析では、血中ビタミンD濃度が低い人ほど、睡眠障害がみられやすい傾向が報告されています。
ただし、これはビタミンD不足が睡眠障害の直接的な原因であることを証明したものではありません。ビタミンDの補給によって睡眠の質が改善したとする研究もありますが、結果は一貫していません。
ビタミンDを含む食品
- 鮭
- さんま
- いわし
- 卵黄
- きくらげ
- 紫外線照射されたきのこ類
ビタミンDは、食品から摂取するほか、日光に含まれる紫外線を浴びることで皮膚でも合成されます。
特に鮭やいわしなどの魚は、ビタミンDとオメガ3脂肪酸の両方を摂取できるため、おすすめです。
なお、ビタミンDは脂溶性ビタミンであり、サプリメントによる過剰摂取には注意が必要です。
睡眠の質を考えるなら、食事のタイミングも大切!
ここまで6つの栄養素をご紹介しましたが、睡眠を考えるうえでは、何を食べるかだけでなく、いつ食べるかも重要です。
① 朝食を食べて生活リズムを整える
私たちの身体には、約24時間周期の体内時計が備わっています。体内時計を調整するうえで特に重要なのが朝の光ですが、食事のタイミングも身体の各組織にある体内時計に関係しています。
毎朝できるだけ決まった時間に朝食を食べることは、規則正しい生活リズムをつくる一つの方法です。
② 就寝直前の食事を避ける
寝る直前にたくさん食べると、胃もたれや胸やけなどによって睡眠が妨げられることがあります。
夕食は、可能であれば就寝の2〜3時間前までに済ませることを目安にしましょう。仕事などで夕食が遅くなる場合は、夕方におにぎりなどを食べ、帰宅後は軽めの食事にする「分食」もおすすめです。
③ カフェインの摂取時間に注意する
コーヒーやエナジードリンクなどに含まれるカフェインには、眠気を抑える作用があります。カフェインの影響には個人差がありますが、就寝の数時間前に摂取すると、寝つきや睡眠時間に影響することがあります。
睡眠に悩んでいる方は、夕方以降のカフェイン摂取を見直してみましょう。
睡眠を意識した食事の組み合わせ例
ここまでご紹介した栄養素を、毎日の食事で取り入れるなら、次のような組み合わせがおすすめです。
朝食:納豆ご飯+卵焼き+ヨーグルト
トリプトファンやビタミンB6などを含む食品を取り入れられます。
昼食:鮭の塩焼き定食
鮭からはビタミンDやオメガ3脂肪酸、ビタミンB6などを摂取できます。ご飯や野菜の副菜も組み合わせましょう。
夕食:豆腐と野菜の鍋+ご飯
豆腐からたんぱく質やマグネシウムなどを摂取でき、野菜も一緒に食べられます。
これらは睡眠改善効果が証明された献立ではありませんが、必要な栄養素をバランス良く摂るための一例です。
まとめ|睡眠のために大切なのは、特別な食品より毎日の食事
今回は、睡眠と関係する6つの栄養素をご紹介しました。
- トリプトファン:セロトニンやメラトニンの材料
- ビタミンB6:セロトニンの合成に関与
- マグネシウム:神経や筋肉の正常な働きを維持
- グリシン:睡眠の質との関係が研究されている
- オメガ3脂肪酸:睡眠時間や睡眠の質との関連が研究されている
- ビタミンD:不足と睡眠障害との関連が報告されている
睡眠と栄養にはさまざまな関係がありますが、特定の栄養素をたくさん摂取すれば、必ず睡眠の質が改善するというわけではありません。
また、睡眠の質を考えるうえでは、食事だけでなく、十分な睡眠時間の確保、適度な運動、朝の光、寝室の環境なども重要です。
まずは、毎日の食事で必要な栄養素を不足させないことから始めてみましょう!
なお、長引く不眠や強い日中の眠気、睡眠中の呼吸の停止などがある場合は、医療機関への相談も大切です。
食事や栄養のお悩みは管理栄養士へ!
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そんなお悩みはありませんか?
当院では、管理栄養士による栄養相談を行っています。睡眠や体調管理に関わる食生活についても、一人ひとりの生活習慣に合わせてアドバイスいたします。
食事や栄養について気になることがあれば、お気軽にご相談ください!
参考文献
- 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
- Montgomery P, et al. (2014). Fatty acids and sleep in UK children: subjective and pilot objective sleep results from the DOLAB study—a randomized controlled trial. Journal of Sleep Research.
- Gao Q, et al. (2018). The Association between Vitamin D Deficiency and Sleep Disorders: A Systematic Review and Meta-Analysis. Nutrients.