こんにちは!管理栄養士のゆいです。
「プロテインって、筋トレをしている人が飲むものでしょう?」
栄養相談の場でも、このような声を耳にすることがあります。そのため、運動をしていない人がプロテインを飲むことに抵抗を感じているケースは少なくありません。
一方で、
「健康によさそうだから」
「飲めば筋肉がつきそうだから」
と、食事で十分なたんぱく質をとれている人が、目的をはっきりさせないまま飲み続けていることもあります。
結論からお伝えすると、運動をしていない人がプロテインを飲んでも問題ありません。ただし、すべての人に必要なものでもありません。
大切なのは、運動をしているかどうかだけで判断するのではなく、普段の食事や体調、生活状況を確認して「自分に不足分があるか」を考えることです。
この記事では、プロテインとは何か、どのような人に必要なのか、管理栄養士の視点からわかりやすく解説します。
そもそもプロテインとは?
「プロテイン(protein)」は、英語で「たんぱく質」という意味です。日本では一般的に、牛乳や大豆などに含まれるたんぱく質を加工し、粉末状にした食品を「プロテイン」と呼んでいます。
つまり、プロテインは特別な筋肉増強剤ではありません。肉、魚、卵、乳製品、大豆製品などからとれるたんぱく質を、手軽に補給できるようにした食品です。
たんぱく質は筋肉だけでなく、
・皮膚
・髪
・爪
・血液
・臓器
・酵素
・ホルモン
・免疫
に関わる物質など、体のさまざまな部分の材料になります。
運動をする・しないにかかわらず、私たちが毎日とる必要がある栄養素です。
ただし、必要なのは「プロテインという商品」ではなく、あくまで「たんぱく質」です。食事から必要量をとれていれば、プロテインを追加する必要はありません。
「運動をしていないと飲んではいけない」は誤解
プロテインは薬ではなく食品なので、運動をしていない人が飲んだからといって、それだけで体に悪いわけではありません。
例えば、
・朝食を食べる時間がなく、おにぎりやパンだけになりやすい人
・食が細くて肉や魚を十分に食べられない人
は、運動習慣がなくてもたんぱく質が不足する可能性があります。
このような場合、プロテインは不足分を補う選択肢の一つになります。
反対に、
・運動をしていても、毎日の食事から十分なたんぱく質をとれている
この場合は必ずしもプロテインは必要ありません。
つまり、判断の基準は「運動をしているか」ではなく、必要量に対して、食事からどのくらいとれているかです。
1日に必要なたんぱく質の目安
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のたんぱく質推奨量はおおむね次のように示されています。
| 年齢 | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 18〜64歳 | 65g/日 | 50g/日 |
| 65歳以上 | 60g/日 | 50g/日 |
妊娠・授乳中は、時期に応じて付加量があります。また、体格、活動量、病気の有無、食事全体のエネルギー量などによって適切な量は変わります。そのため、この数値だけを全員に当てはめるのではなく、一つの目安として考えましょう。
なお、食事摂取基準は「ある1食」や「ある1日」だけではなく、習慣的な摂取量を評価するための基準です。1日だけ少なかったからといって、すぐにプロテインを足さなければならないわけではありません。
食品に含まれるたんぱく質の例
おおよその目安は次の通りです。商品や調理法によって量は異なります。
- 卵1個:約6g
- 納豆1パック:約7〜8g
- 牛乳200ml:約6〜7g
- 無糖ヨーグルト100g:約3〜4g
- 鶏むね肉100g:約20g前後
- 魚1切れ:約15〜20g
- 木綿豆腐150g:約10g前後
主菜を毎食とる
+
乳製品なども組み合わせている人
は、食事だけで必要量を満たせることがあります。
一方、朝はパンだけ、昼は麺だけ、夜に初めて肉や魚を食べるという食生活では、1日量が不足したり、夜に偏ったりしやすくなります。
プロテインが役立つ可能性がある人
1.食事量が少なく、たんぱく質源を十分に食べられない人
食欲が落ちている、食が細い、忙しくて食事を簡単に済ませがち、といった人は、肉・魚・卵・大豆製品などが不足しやすくなります。
食品を少し増やすことが難しい場合には、食事に影響しない量のプロテインを間食などで活用する方法があります。ただし、食欲低下が長く続く場合や、意図せず体重が減っている場合は、プロテインだけで済ませず医療機関に相談しましょう。
2.朝食や昼食が炭水化物に偏りやすい人
「朝はトーストだけ」「昼はおにぎりやうどんだけ」という食事では、たんぱく質が不足しやすくなります。
まずは卵、ヨーグルト、牛乳、チーズ、納豆、豆腐、ツナなどを加えられないか考えます。それが難しい日に、プロテインで補うのは現実的な方法です。
3.運動量が多く、食事だけでは必要量を満たしにくい人
筋力トレーニングや持久系スポーツを継続している人は、運動をしていない人より多くのたんぱく質が必要になる場合があります。
ただし、プロテインを飲むだけで筋肉が増えるわけではありません。筋肉を増やすには、適切なトレーニング、十分なエネルギーと栄養、休養がそろうことが重要です。
4.高齢で、食事量や筋肉量の低下が気になる人
高齢になると、食欲や食事量の低下により、たんぱく質が不足することがあります。噛む力や飲み込む力の状態によっては、通常の食事だけで十分な量をとることが難しい場合もあります。
プロテインが補助になることはありますが、筋肉の維持にはエネルギー不足を防ぐことや、無理のない身体活動も大切です。持病や服薬がある場合は、医師や管理栄養士に相談してから利用しましょう。
5.菜食中心などで、たんぱく質源が限られている人
動物性食品を控えている人でも、豆類、豆腐、納豆、豆乳、穀類などを組み合わせれば、たんぱく質をとることはできます。ただし、食べられる食品が限られ、必要量を満たしにくい場合には、大豆などを原料としたプロテインが補助になることがあります。
プロテインの優先度が低い人
次のような人は、プロテインを追加する前に、必要性を見直してみましょう。
- 毎食、肉・魚・卵・大豆製品などの主菜をとれている
- 乳製品や大豆製品なども含め、1日の必要量を食事で満たしている
- 「何となく健康によさそう」という理由だけで飲んでいる
- プロテインを飲むことで食事量が減り、野菜や主食まで抜けている
- 減量中なのに、食事に加えて無計画に何杯も飲んでいる
たんぱく質にもエネルギーがあります。たんぱく質は1g当たり4kcalであり、プロテインも摂取量に応じてエネルギーが加わります。必要量を超えて飲めば自動的に筋肉になるわけではなく、余分なエネルギー摂取につながる可能性があります。
また、食事にはたんぱく質以外にも、鉄、亜鉛、カルシウム、ビタミン、脂質など、さまざまな栄養素が含まれています。プロテインだけを飲んで食事の代わりにするのではなく、基本はバランスのよい食事です。
自分に必要かを判断する3ステップ
ステップ1:普段の食事を書き出す
まずは2〜3日分、食べたものと量を簡単に記録します。特別に食事を整えた日ではなく、普段通りの日を記録することがポイントです。
ステップ2:毎食、たんぱく質源があるか確認する
肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などが、朝・昼・夕食に入っているかを確認します。1日分を夕食だけでまとめてとろうとせず、できる範囲で各食に分けましょう。
ステップ3:足りない分だけ補う
不足している場合も、最初から1回分をすべて飲む必要があるとは限りません。まず食品を追加できないか考え、それが難しいときに、不足分に合わせてプロテインの量を調整します。
製品によって、1食分のたんぱく質量、エネルギー、糖質、脂質、ビタミン・ミネラル、甘味料などは異なります。パッケージの栄養成分表示を確認しましょう。
利用前に医師や管理栄養士へ相談したい人
プロテインは食品ですが、誰でも自己判断で多くとってよいわけではありません。
特に、腎臓病や肝臓病などで治療中の人、健康診断で腎機能や尿たんぱくの異常を指摘された人、医師からたんぱく質量の指示を受けている人は、利用前に主治医や管理栄養士へ相談してください。
また、乳・大豆などの食物アレルギーがある人は原材料の確認が必要です。妊娠中・授乳中、子ども、薬を服用している人も、製品に含まれるたんぱく質以外の成分を含めて確認しましょう。
まとめ:プロテインは「必要な人が、不足分を補う」もの
プロテインは、筋トレをする人だけのものではありません。運動をしていなくても、食事から十分なたんぱく質をとれない人には役立つ可能性があります。
一方で、食事で必要量を満たしている人が、目的なく追加する必要はありません。
覚えておきたいポイントは、次の3つです。
- プロテインは、たんぱく質を手軽に補うための食品
- 必要性は「運動の有無」ではなく「食事から必要量をとれているか」で考える
- 基本は食事。不足する分だけ、プロテインを上手に活用する
「自分がどのくらいとれているかわからない」「体重や運動量に合った量を知りたい」という場合は、自己判断で増やす前に管理栄養士へ相談するのがおすすめです。
食事内容や生活スタイルに合わせて考えることで、プロテインは過不足なく、上手に活用できます。
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参考資料
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「日本人の食事摂取基準」
- 厚生労働省 健康日本21アクション支援システム「たんぱく尿」
※本記事は健康な成人に向けた一般的な情報です。個別の診断や治療に代わるものではありません。病気の治療中、検査値に異常がある、食事制限を受けている場合は、医師・管理栄養士などの専門家にご相談ください。