水は1日にどのくらい必要?正しい水分補給と災害への備え

こんにちは!管理栄養士のゆいです。

2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震により、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

被災地では、現在も断水が続き、給水支援を必要としている地域があります。普段は蛇口をひねれば当たり前のように使える水も、災害が起きると突然、手に入りにくくなることがあります。

水は、飲むためだけに必要なものではありません。食事の準備や服薬、手洗いなど、私たちの命と健康を守るために欠かせないものです。特に暑い時期の避難生活では、慣れない環境やトイレへの不安から水分を控えてしまい、脱水や熱中症につながることもあります。

今回の震災を受け、改めて日頃の水分補給や災害時の備えについて考えた方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、私たちが1日に必要とする水分量と、上手な水分補給の方法、災害に備えて準備しておきたい水の量について解説します。


人は1日に約2.5Lの水分を失っている

厚生労働省の資料によると、一般的な成人は、普通に生活しているだけでも1日に約2.5Lの水分を体外へ失っています。

主な内訳は次のとおりです。

  • 尿や便:約1.6L
  • 呼吸や汗:約0.9L

一方、体に入ってくる水分は、飲み物だけではありません。

  • 食事に含まれる水分:約1.0L
  • 体内でつくられる水(代謝水):約0.3L
  • 飲み物から補う水分:約1.2L

つまり、「1日に2.5L必要」と聞いても、2.5Lすべてを飲み物から摂る必要があるわけではありません。

一般的な食事を3食摂れている場合は、飲み物から補う水分量として、1日約1.2Lがひとつの目安になります。


1.2Lはあくまでも基本の目安

必要な水分量は、体格や年齢、食事内容、運動量、気温、体調などによって変わります。

特に、次のような場合は通常よりも多くの水分が必要です。

  • 気温や湿度が高い日
  • 運動や屋外作業をするとき
  • 汗をたくさんかいたとき
  • 発熱しているとき
  • 下痢や嘔吐があるとき
  • 妊娠・授乳中
  • 食事量が減っているとき

ごはん、汁物、野菜、果物などにも水分が含まれているため、食事量が少なくなると、食事から摂れる水分も減ってしまいます。

「飲み物はいつもと同じ量だから大丈夫」と思っていても、食欲が落ちていると、全体として水分不足になることがあるため注意しましょう。


水分は一度にまとめて飲まない

喉が渇いてから、一度に大量の水を飲む方法はおすすめできません。水分は、一日の中で何回かに分けて補うことが大切です。

例えば、次のようなタイミングを決めておくと、無理なく続けられます。

  • 起床後
  • 朝食時
  • 午前中
  • 昼食時
  • 午後
  • 夕食時
  • 入浴の前後
  • 就寝前

コップ1杯を約150~200mLとすると、1日6~8回程度に分けることで、約1.2Lを補えます。

一度にたくさん飲もうとするのではなく、「生活の節目にコップ1杯」を意識してみましょう。


普段の水分補給は水やお茶が基本

日常生活での水分補給には、水や麦茶など、糖分やカフェインを多く含まない飲み物が適しています。

スポーツドリンクは、長時間の運動や大量に汗をかいたときの水分・塩分補給には役立ちますが、日常的に飲み続けると糖分の摂りすぎにつながることがあります。

また、経口補水液は脱水時に水分と電解質を補うための飲み物です。水の代わりとして毎日飲むものではありません。

状況に合わせて、飲み物を選ぶことが大切です。


水分が足りているかは尿の色も参考に

水分が足りているか分からないときは、尿の色や回数も参考になります。

尿の色が濃い、尿の量や回数が少ない、口の中が乾く、頭が重い、体がだるいといった変化は、水分不足のサインかもしれません。

一方で、尿の色は薬やサプリメント、病気などの影響を受けることもあります。水分を摂っても体調が改善しない場合や、強い頭痛、吐き気、意識の変化などがある場合は、早めに医療機関へ相談してください。


飲みすぎにも注意が必要

水分は多ければ多いほどよいわけではありません。

短時間に大量の水を飲むと、体内のナトリウム濃度が低下する「水中毒」を起こす可能性があります。1日の目標量を一気に飲まず、少量ずつ分けて補いましょう。

また、心臓や腎臓の病気などで水分量を指示されている方は、一般的な目安ではなく、医師の指示に従ってください。


災害用の水は「1人1日3L」を目安に

日常生活で飲み物から補う水分の目安は約1.2Lですが、災害用に備蓄する水の目安は異なります。

農林水産省では、飲料用と調理用を合わせて、1人当たり1日3L、最低3日分の備蓄を案内しています。

必要量の目安は次のとおりです。

  • 1人分:3L×3日=9L
  • 2人分:3L×3日=18L
  • 4人分:3L×3日=36L

これは、飲み水だけでなく調理に使う水も含んだ量です。食品や食器を洗う水などは、別に必要になる場合があります。

特に夏の災害では、避難生活や片付け作業によって普段以上に汗をかきます。水だけでなく、必要に応じて塩分を補える食品や飲料も備えておきましょう。

一度にそろえることが難しい場合は、普段から飲む水を少し多めに買い、使った分を買い足す「ローリングストック」がおすすめです。


まとめ

一般的な成人の場合、体が1日に必要とする水分は約2.5Lです。ただし、そのすべてを飲み物から摂るのではなく、食事や体内でつくられる水分も含まれています。

飲み物から補う水分は、1日約1.2Lが基本的な目安です。ただし、暑い日や運動時、発熱時、食事量が減っているときなどは、必要量が増えることがあります。

「毎日必ず〇L」と数字だけで判断するのではなく、気温や活動量、食事量、尿や体調の変化を確認しながら、こまめに水分を補いましょう。

災害は、いつ起こるか分かりません。この機会に、日頃の水分補給と、ご家庭にある水の備蓄量を一度確認してみてはいかがでしょうか。

参考資料

執筆者情報

吉良優衣(管理栄養士)

健康な方への栄養相談を通して、より健康に、生き生きと過ごしていただくお手伝いがしたいと考え、現在の会社に入社。整骨院の店舗およびLINEにて栄養相談を行うほか、野球部の高校生を対象とした栄養講習など、講習会活動にも従事しています。