「卵は1日1個まで」はもう古い?コレステロールと食事の関係を管理栄養士が解説!

こんにちは!管理栄養士のゆいです!
皆さんは「卵は1日1個までにした方がいい」という話を聞いたことがありますか?

卵はたんぱく質をはじめ、さまざまな栄養素を含む食品です。

一方で、卵黄にはコレステロールが多く含まれることから、以前は食べすぎに注意するよう言われることもありました。

ところが最近では、
「卵は何個食べても大丈夫!」
「コレステロールは気にしなくていい!」
といった情報も見かけます。

では、実際にはどちらが正しいのでしょうか?

今回は、卵とコレステロールの関係、1日に食べる量の考え方について、管理栄養士が解説します!


① 卵は1日1個までという決まりはある?

結論からいうと、健康な成人全員に対して、卵を1日1個までに制限するという一律の基準はありません。

日本人の食事摂取基準(2025年版)では、コレステロールの耐容上限量は設定されていません。
これは、健康な人において、食事由来のコレステロール摂取量と血中コレステロール値、健康への影響との関係について、一律の上限値を設定するための十分な根拠がないためです。

ただし、ここで注意したいことがあります。

「上限量が設定されていない」ことと、「いくら食べても健康に問題がない」ことは同じではありません。

卵の適切な摂取量は、健康状態や食生活全体によって異なります。


② そもそもコレステロールって悪いものなの?

コレステロールというと、健康に悪いイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、コレステロールは身体にとって必要な物質です。

例えば、次のような役割があります。

  • 細胞膜の構成成分になる
  • ステロイドホルモンの材料になる
  • 胆汁酸の材料になる
  • ビタミンDの合成に関わる

つまり、コレステロールそのものが悪いわけではありません。
問題になるのは、血液中のLDLコレステロールが過剰に増えるなどして、動脈硬化のリスクが高まることです。

また、コレステロールは食事から摂取するだけでなく、肝臓などでも合成されています。身体には、必要に応じてコレステロールの合成や吸収を調節する仕組みがあります。


③ 卵を食べると血中コレステロールは上がる?

卵黄には、コレステロールが比較的多く含まれています。

日本食品標準成分表によると、鶏卵(全卵・生)のコレステロールは可食部100gあたり約370mgです。
Mサイズの卵1個の可食部を約50gとすると、コレステロールは約185mgとなります。

では、卵を食べると、その分だけ血中コレステロールが増えるのでしょうか?
実は、そう単純ではありません。

食事から摂取したコレステロールの一部は小腸で吸収されますが、血中コレステロール値は、体内での合成や代謝などによっても調節されています。また、食事由来のコレステロールに対する反応には個人差があります。

卵の摂取量を増やすと、平均的にはLDLコレステロールが上昇する場合がある一方、その程度は食事内容や個人によって異なります。

そのため、卵を1個食べたからといって、必ず血中コレステロールが大きく上昇するわけではありません。

ただし、卵を食べても血中コレステロールにまったく影響しない、という説明も正確ではありません。


④ コレステロールより飽和脂肪酸を気にした方がいい?

血中LDLコレステロールを考えるうえでは、食事由来のコレステロールだけでなく、飽和脂肪酸にも注目する必要があります。

飽和脂肪酸は、肉の脂身やバター、生クリームなどに比較的多く含まれる脂肪酸です。飽和脂肪酸の摂取量が多い食生活は、LDLコレステロールの上昇につながることが知られています。

そのため、卵だけを制限していても、ほかの食事で飽和脂肪酸を多く摂っていれば、食生活全体として十分な対策にならない場合があります。

例えば、

  • 卵と一緒にベーコンやソーセージを頻繁に食べる
  • バターや生クリームを多く使う料理が多い
  • 肉の脂身を多く食べる

といった食習慣にも目を向けることが大切です。

一方で、魚や大豆製品、野菜、海藻類などを取り入れることも、食生活全体の改善につながります。

ただし、飽和脂肪酸だけに注意すれば、食事由来のコレステロールを無制限に摂ってよいという意味ではありません。


⑤ 卵は栄養価が高い食品!

ここまでコレステロールについて解説してきましたが、卵にはさまざまな栄養素が含まれています。

例えば、卵1個(可食部約50g)には、おおよそ次の栄養素が含まれています。

栄養素卵1個あたり
エネルギー約71kcal
たんぱく質約6.1g
脂質約5.1g
ビタミンD約1.9μg
ビタミンB12約0.5μg

※日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の鶏卵・全卵・生を参考にした概算値です。

卵は、たんぱく質をはじめ、ビタミンやミネラルなども摂取できる食品です。また、調理方法が豊富で、朝食やお弁当などにも取り入れやすいというメリットがあります。

ただし、卵だけですべての栄養素を補えるわけではありません。

例えば
卵には食物繊維がほとんど含まれておらず、ビタミンCも十分には摂れません。

ごはんやパンなどの主食、野菜や果物なども組み合わせることが大切です。


⑥ 脂質異常症の人も卵を自由に食べていい?

ここは特に注意したいポイントです。

健康な人に対してコレステロールの一律の耐容上限量が設定されていないからといって、脂質異常症がある方も同じように考えてよいわけではありません。

日本人の食事摂取基準(2025年版)では、
脂質異常症の重症化予防を目的として、コレステロール摂取量を1日200mg未満に抑えることが望ましいとされています。

また、動脈硬化性疾患予防ガイドラインなどでも、脂質異常症の種類やリスクに応じた食事管理が推奨されています。

卵1個には約185mgのコレステロールが含まれるため、食事療法でコレステロール制限が必要な方は、卵以外の食品も含めて摂取量を考える必要があります。

ただし、脂質異常症と診断されたすべての方に、一律で同じ制限が必要というわけではありません。

健康診断でLDLコレステロールが高いと指摘された方や、医師から食事制限を指示されている方は、自己判断で卵の摂取量を増やさず、医師や管理栄養士に相談しましょう。


⑦ 結局、卵は1日何個食べればいい?

ここまで読むと、「では、卵は1日何個が正解なの?」と思いますよね。
しかし、すべての人に共通する正解はありません。

健康な成人であれば、卵を1日1個食べることを過度に心配する必要はありませんが、毎日2個、3個と増やすことを積極的に推奨できるわけでもありません。

また、卵だけに偏るのではなく、肉・魚・大豆製品・乳製品など、さまざまなたんぱく質源を組み合わせることも重要です。

例えば、
朝食に卵を食べた日は
昼食に魚
夕食に大豆製品
を取り入れるなど、食品の種類を増やしてみましょう。

「卵を何個まで食べられるか」だけでなく、「普段どのような食事をしているか」を考えることが大切です。


まとめ|卵は1日1個までと決めつけなくていい!

「卵は1日1個まで」という考え方は、現在では健康な成人全員に当てはまる一律のルールではありません。
一方で、「卵は何個食べても大丈夫」という考え方も正確ではありません。

卵にはコレステロールが含まれていますが、血中コレステロールへの影響には個人差があり、食生活全体の内容も関係します。

また、脂質異常症などで食事管理が必要な方は、コレステロールの摂取量に注意する必要があります。
大切なのは、特定の食品を「良い」「悪い」と決めつけないことです。

卵の個数だけにこだわらず、自分の健康状態と食生活全体のバランスを考えることが、健康的な食事への第一歩です。


参考資料

  1. 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
  2. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
  3. 日本動脈硬化学会「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版」
  4. Drouin-Chartier JP, et al. Egg consumption and risk of cardiovascular disease: three large prospective US cohort studies, systematic review, and updated meta-analysis. BMJ. 2020;368.

執筆者情報

吉良優衣|管理栄養士

整骨院で勤務しながら、日々の食事や栄養に関する情報を発信しています。

無理な食事制限ではなく、一人ひとりの生活に合わせた、継続できる食事の工夫を大切にしています。